タイトルの「ブラックホール(BH)」と言えば、
何でも飲み込み、光すら脱出できないことで有名。
これ以上近づくと光も出られないギリギリの境界は「事象の地平面」
その半径は「シュワルツシルト半径」と呼ばれている。
※ BHはアインシュタインの特殊相対性理論に登場し、
現在はその存在がほぼ確実視されているそうである。
事象の地平面は球面なので、その大きさは半径で指定できる。
りん 「すべてのしせんをのみこむ くろいきゅうたいみゃん」
BHの別の特徴である、物体を飲み込むというのは、
映画とかの、BHに宇宙船等が吸い込まれるシーンの影響だろうか、
「物体がBHの重力に掴まり、事象の地平面を越えてBHへ落ちていく」
というイメージなんだが。
ところが、Aが事象の地平面Sに近づくにつれ
遠くから観察してる私たち観察者Bから見たAの時間が遅くなり、
S上ではついにAの時間が止まる、
という摩訶不思議な御宣託が、相対論から下されている。
ここで相対論素人おじさんには疑問が1つ。
『Bが見ているAの時間がS上で止まるなら、
AがSを越えてBHに飲み込まれるのを
Bは永遠に見ることができないのでは?』
つまり、BHがAを飲み込むことはないように思えるだが、
何か変じゃないか?
相対論素人おじさんにはめっちゃ不思議に感じるのだ。
以下、相対論素人おじさんが、
なんとなくこれだって納得した、この不思議の解消方法を述べていく。
おそらく間違っているのだろうが、
まぁ、おじさんはこんなんで納得したって話。
みう 「じかんがとまると このうつくしさがえいえんですぅ」
この疑問は、
「BHがAを飲み込むときには、AがSを越えてBH側へ行く」
という仮定に立脚している。
極端に言うと、ビー玉Aがシャボン玉Sに突っ込むように
AがSを通過する、である。
ということは、シャボン玉Sを膨らましてる最中にビー玉Aを取り込むように
AをSが通過しても、
BHがAを飲み込んだと言えるのではないか。
りん 「アスペクトひをあっしゅくちゅう みゃん」
もう少し具体的に書くと、
質量mの物体Aが質量MのBH(M>m)に近づいていくときに
BHとAを合わせた合体系の重心とAとの距離より
この合体系のシュワルツシルト半径が大きくなれば、
合体系は質量M+mの新しいBHになるのではないだろうか。
質量MのBHのシュワルツシルト半径bは、
ここで、Gは重力定数、cは高速である。
BMが原点Oに、Aが位置Lにあるとすると、
BMとAの重心PとPから見たAの位置Tは
BM+A合体系のシュワルツシルト半径Qと
Tが等しくなるL=aを求めると
なので、例えば太陽と同じ質量(太陽質量)の物体Aが
太陽質量の10倍のBHに近づく場合(b=30 [km]、m/M=1/10)、
元のBHの事象の地平面Sから
[(1+1/10)^2-1]b=0.21b=6.3 [km]の地点まで近づくと、
BHとAは合体し、新しい質量M+mのBHとなる。
この6.3 [km]まで近づいたとき、
Aの時間は私たちの0.42倍程度の遅さである。
お~、有限の、それなりに気にならない程度の時間の遅れで
BHとAは合体して新しいBHになれるのか。
りん 「わかたけランチで めがおよぐしかないみゃん」
みう 「げたはからん ころんですぅ」
「わけわからん」 だ。
ところが、太陽質量の10億倍のBH(b=3×10^9 [km])に
太陽質量の物体Aが近づく場合、
Sから2b×10^(-9)=6 [km]まで近づかないと、BHと合体しない。
この6 [km]まで近づいたとき、
Aの時間は私たちの4.5×10^(-5)倍程度の遅さである。
大きいBHは小さいAは飲み込むのにめっちゃ時間が掛かってしまうのか。
まぁ、次々に物体がBHに近づいてくれば、
先に来た物体ほどBHへゆっくり近づくのだから、大渋滞になる。
なので、事象の地平面付近の物体の総質量は相当大きくなっていき、
適当な量の物質が事象の地平面付近に溜まったところで、
BHが飲み込むのだろう。