トリプルコンボ
りんが箱の傍でのんびり。
のんびり?
のんびりどころか、どうにも落ち着かない様子。
箱にすりすり、欠伸、あんよぷるぷる、のトリプルコンボ。
前回、サプリのCMで「それはおかしくないか?」と思うってことで
オルニチンをネタにしてみた。
(昔の人は1日に蜆1800個も食ったらしい、は → こちら)
今回は、「酵素」
・酵素
野菜・果物を発酵させて得られる「生酵素」が減量にいいらしい
・・・ そうだが。
ナマコだってもう少しマシな嘘をつくぞ。
生酵素 → なまこうそ → ナマコ嘘 あっはっは
CMで見かける生酵素以外にもいろいろ酵素サプリ製品はあるようだ。
調べる気にもならないが。
おじさんの目からみても相当怪しい酵素サプリだが、
案の定、2020/3/17に
消費者庁から酵素サプリの会社に出たそうだ。
他にもちょこちょこ消費者庁から文句が出ていたようである。
でも、まだお笑いのたんぽぽ白鳥・川村のTVCM見るけどなぁ。
さて、ここから理系おじさんの戯言。
減量サプリでよく見る「糖や脂肪の燃焼」という謳い文句は、
無駄に燃焼すれば体内に蓄積されない=太らない、という図式。
酵素というのは蛋白質の一種で、
常温常圧下では進行しないような特定の化学反応を促進する。
例外もあるが、通常酵素1種類につき促進する化学反応は1つ。
人は食べた糖や脂肪に様々な酵素を働かせて、
非常に複雑な化学反応を何段階も経由することでエネルギーを得ている。
その燃焼の反応経路の途中に、
例えばクエン酸回路という一群の化学反応があるのだが、
下に示すように、ほぼ全ての反応がそれぞれ異なる酵素で進行している。
糖や脂質の燃焼反応の一部でもこれである。
体内では、嫌になるほど数多くの酵素が働いているのだ。
※ クエン酸回路はエネルギー生成に必要なNADHという化合物を生成する。
TCA回路とも言う。授業で習った記憶のある方もいるだろうか。
Wikiから各反応を抜粋してくると、
1:オキサロ酢酸 → クエン酸:クエン酸シンターゼ(青字は反応を促進する酵素)
2:クエン酸 → イソクエン酸:アコニット酸ヒドラターゼ
3:イソクエン酸 + NAD+ → α-ケトグルタル酸 + NADH:イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
4:α-ケトグルタル酸 + NAD+
→ スクシニルCoA + NADH:オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体
5:スクシニルCoA → コハク酸:スクシニルCoAシンターゼ
6:コハク酸 → フマル酸:コハク酸デヒドロゲナーゼ
7:フマル酸 → L-リンゴ酸:フマラーゼ
8:L-リンゴ酸 + NAD+ → オキサロ酢酸 + NADH:リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
(8から1へ戻るので「回路」と呼ばれる)
TCA回路とも言う。授業で習った記憶のある方もいるだろうか。
Wikiから各反応を抜粋してくると、
1:オキサロ酢酸 → クエン酸:クエン酸シンターゼ(青字は反応を促進する酵素)
2:クエン酸 → イソクエン酸:アコニット酸ヒドラターゼ
3:イソクエン酸 + NAD+ → α-ケトグルタル酸 + NADH:イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
4:α-ケトグルタル酸 + NAD+
→ スクシニルCoA + NADH:オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体
5:スクシニルCoA → コハク酸:スクシニルCoAシンターゼ
6:コハク酸 → フマル酸:コハク酸デヒドロゲナーゼ
7:フマル酸 → L-リンゴ酸:フマラーゼ
8:L-リンゴ酸 + NAD+ → オキサロ酢酸 + NADH:リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
(8から1へ戻るので「回路」と呼ばれる)
「生酵素」の宣伝には、
「(酵素は)人間のあらゆる生命活動に関わっている物質です」
「酵素は『ダイエット』『美容』『体内環境』をサポートします」
なんて謳い文句が踊っているが。
※ 「あらゆる生命活動に関わる」なら、
当然栄養を貯め込む=太ることに関わる酵素もあるんだが。誰もツッコまないのか?
当然栄養を貯め込む=太ることに関わる酵素もあるんだが。誰もツッコまないのか?
好意的に解釈すれば間違いじゃないけど、
どんだけの種類の異なる酵素が関わってると思ってるんだろうか。
どうも、「酵素」と呼ばれる「1種類」(または「少数」)の物質がある、
で、その「酵素」は「生酵素」で摂取でき、謳い文句の効果が期待できる、
と誤解させたいらしい。
御自慢の「生酵素」は、
どういう化学反応をどうすることで減量をサポートするんだろうな。
是非教えてもらいたい。
「酵素は主に生の野菜や果物に多く含まれています」
なんて謳い文句に至っては、
わざわざ『生の野菜や果物』の文字色を変えてるんだし、
誤読させる気満々なようだ。
植物発酵エキスの謳い文句としてこれを読んだら
「酵素は肉や魚などより『生の野菜や果物』に多く含まれています」、
って理解すると思うが、
当然、肉や魚にも酵素は多く含まれるので、間違い。
もしかすると、
「加熱してない『生の』野菜や果物に(そして肉や魚などにも)多く含まれ、
加熱すると失われます」
と書いたつもり、が言い訳か?
こう読める人はめっちゃ少数だろう。
※ 酵素は蛋白質なので加熱すると壊れる(変性する)。
それに、蛋白質である酵素を食べたからって、
酵素がそのまま体内に吸収されるわけではない。
蛋白質は構成単位である種々のアミノ酸が一直線の紐状に繋がったもの。
摂取した蛋白質は消化酵素などにより元のアミノ酸、あるいはアミノ酸2つが繋がったジペプチド、
3つ繋がったトリペプチドまで分解され、小腸で血中へ吸収される。
小さい酵素でもアミノ酸の数は約100個以上であり、
アミノ酸が1個、2個、3個なんて細切れに分解されてしまっては
酵素としての機能なんか保ってるわけがない。
そもそも、摂取した他生物の酵素が体内で機能しちゃったら大問題。
生物種が異なれば必要な反応や元物質、生成物質は異なるので、
不要なものを生成したり、必要なものを利用できなくしたり、
なんてことになるのだ。
だから、摂取した酵素が機能しないように
徹底して分解するのは非常に大事だし、
実際しっかり分解されてから吸収されるのである。
※ 例えば、サプリの代表格コエンザイムQ10(CoQ10)。
名前の10は分子構造の繰り返しの数に由来する(つまり10個同じ物が繰り返してる部分がある)。
人ではこのCoQ10が抗酸化作用やらエネルギー生成(糖や脂肪の燃焼)やらに大活躍するのだが、
人以外ではCoQ6だったりCoQ8だったりする。
CoQ10は人の体内でいくつかの酵素を用いて合成されるが、
ここにCoQ6やCoQ8を合成する酵素が入り込むと、CoQ10の合成を阻害する(材料が同じだし)。
で、CoQ10不足がいろいろ問題を引き起こす、かも。
名前の10は分子構造の繰り返しの数に由来する(つまり10個同じ物が繰り返してる部分がある)。
人ではこのCoQ10が抗酸化作用やらエネルギー生成(糖や脂肪の燃焼)やらに大活躍するのだが、
人以外ではCoQ6だったりCoQ8だったりする。
CoQ10は人の体内でいくつかの酵素を用いて合成されるが、
ここにCoQ6やCoQ8を合成する酵素が入り込むと、CoQ10の合成を阻害する(材料が同じだし)。
で、CoQ10不足がいろいろ問題を引き起こす、かも。
というわけで、酵素を食物として摂取しても、
その酵素は働かず、機能的には無意味だし、
植物発酵エキスの酵素が云々も無意味だし。
よくこれで消費者庁やJAROが動かないものだ、と思って調べたら、
冒頭の2020/3/17に計約2億5千万円の課徴金納付命令が
消費者庁から酵素サプリの会社に出ていたそうだ、という話。
ちなみに植物の発酵自体は、
種々の効果が得られ
有用かつ嗜好性の高い食品を得る手段として確立されている。
味噌、醤油、納豆とか、清酒とか。
植物由来の生酵素を謳ってる製品にも、
酵素ではない別の理由で、人に有益な効果を持っているかもしれない、
かも。
いつでも可能性は0ではないのだし。
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