今回の1枚 (293) 思案中
秋深き 隣は何を する人ぞ
りん 「このにおいによると、おとなりのばんごはんはカレーみゃん」
暦の上ではとっくに秋。
彼岸入り。
体感的には結構涼しくなってきた(まだ最高気温予想は30度越えだけど)。
そろそろ、夜には秋の虫の声。
顎におててを当ててるだけで、
何かを考えてるように見える、という不思議。
考える人の彫刻も、
顎に手を当てているからこそ、か。
※ 冒頭の芭蕉の句。茶化しちゃいかんよなぁ。
体調が悪いと、大人しくしているより他はない。
すると、まぁ下らないことを考えること、考えること。
で、今回の愚考は、
「送料無料」って謳い文句は紛らわしいと思うのだが、
どうにかならないものだろうか?
結論:「値引き」に替える。
嘘でなく客のお得感も多少は得られるのではないだろうか。
「送料無料」と呼ばれるサービスを実現されている方々に感謝。
● 「送料無料」か「送料込み」か
行政が見直しとか言い出したせいか、
最近また話題にあがっているのをそれなりに見かける、
通販の「送料無料」表示の問題。
「送料無料」と「送料込み」なら、客が受ける印象は正反対。
「送料無料」なら、自分は送料を払っていないと思うだろうし、
「送料込み」なら、自分が送料を払っていると思うだろう。
真逆な印象の謳い文句が同じもの扱いで使われるのなら、
「送料無料」が景品表示法の有利誤認にならないのは、何故か?
条文にある「『著しく』有利」の『著しく』に当たらないからか?
この問題、回避できないものだろうか?
「送料無料」と呼ばれるサービスを実現している方々の
努力が伝わらないしなぁ。
● 客と配送業者の間に会社が入るのが問題
客は会社へ商品代金と「送料」を支払って商品を買い、
会社は配送業者に「有料の配達料」を支払い、配達を外注するという
シンプルな状況を考える。
客は「送料」に「配達料」が含まれ、
会社が「送料」から配送業者に「配達料」を払ってると思ってる。
会社が間に入ることで、
以後のお金の流れが不明確になるのだが
様々な費目のうちの「送料」だけを取り出して「無料」と表示するのが
問題の1つなのだ。
「送料無料」なら客の支払った代金は、
1円たりとも配送業者へ支払われてはいないはず。
なので、疑問が湧く。
▽ 客の代金から配送業者への「配達料」の支払いは、
本当にないのか?
客がそれを確認できるか?
▽ 客からの売り上げから配送業者への支払いがないなら
会社はどこから配送業者へ「配達料」を支払っているのか?
▽ 会社は何をもって
「送料込み」ではなく「送料無料」だと主張しているのか?
会社が「無料」と言ってるから信じろ、か?
● 「値引き」が現実的か
客がお得感満点の謳い文句に弱いなら、
以前から用いられている「値引き」の謳い文句でいいんじゃないか。
「無料」かどうかではなく、「安い」かどうかが大事なのだから。
例えば、
▽ 「セット割り」
電動のこぎり本体14800円、替刃セット2800円、
安全ゴーグル1880円、予備バッテリー4380円をセットにして、
単品合計23860円のところ、
ど~んとお値引きして12800円。
送料無料でお届けします。
これを以下のように変える。
電動のこぎり本体14800円 (中略) 予備バッテリー4380円、
『全国一律送料800円』、をセットにして、
単品合計24660円のところ、
ど~んとお値引きして12800円でお届けします。
▽ 「代金据え置き」
代金9800円に送料800円が掛かって総額10600円のところ、
代金据え置きで9800円。
これにより、客は送料込みの代金を払っていること、
値引きして、送料0円と同じか、さらに安く、
代金総額を設定していることも明確。
「送料無料」の紛らわしさも解消できるし、
お得感も出せてると思うのだがなぁ。
※ 以前から使われているなら、法律に抵触する可能性も低いんじゃないかな?
ちなみに、最後に「実質送料無料」と付ければ、
検索ワード「送料無料」に引っ掛かるようになるだろう。
このワードで検索する人は多いそうだ。
※ 代金優先なら、商品代金ではなくて、プラス送料の支払い総額で比べるだろう。
比較サイトを見てると、「送料別」だと商品代金は安く、
「送料無料」だと商品代金は高く設定されていることが多いように思う。
比較サイトを見てると、「送料別」だと商品代金は安く、
「送料無料」だと商品代金は高く設定されていることが多いように思う。
これで一応、結論まで終了。
以下、関連四方山話。
こっちが書きたいことだったりする。
● 楽天の「送料無料」騒動
以前楽天で「送料無料ライン」というサービスの導入でひと悶着あった。
同サービスのガイドのページのトップには、
「3980円(税込み)以上で送料無料」と大きく書いてある。
が、その上に「送料込みで―わかりやすくなりました―」とあるのだ。
一方、店側への通達や販売促進ツール・サービス名では
「送料込みライン」とある。
結局、「送料無料」か「送料込み」か?
要約すると、
「送料無料も送料込みも商品価格のみで購入できることを示しており、
楽天市場では同様の意味に用いています」
あ、そう。
客には正反対の印象を与えるのに、同じだと。
同じだけど、客には送料無料、店には送料込み。
見事な二枚舌、もとい使い分けだ。
同じなら、なぜ「送料無料」を廃止して、
客にも「送料込み」で統一しないのか。
まぁ、騒動は独占禁止法関係で景品表示法ではないので、
客相手の「送料無料」は問題視してないのだろう、かな。
● 物流の「2024年問題」と「送料無料」表示
上記のように題したことについて、先日目にしたニュース。
内閣早期退陣を改造で誤魔化した草履大臣が
「送料無料」の表示の改善に言及したとか。
以前にも経産省の旗振りで、同じ事を言っていた気もするが。
※ 草履大臣:他人に取り入ることしか興味も能もないおべんちゃら使い。
人事がやりたいそうだから、内閣改造で夢は叶ったのか。
人事がやりたいそうだから、内閣改造で夢は叶ったのか。
消費者庁のHPによると、
「運賃・料金が消費者向けの送料に
適正に転嫁・反映されるべきという観点から、
『送料無料』表示の見直しに取り組む」
だそうだ。
「送料無料」表示の見直し自体は良い事だと思う。
そこに書かれている「送料無料」見直しの理由を列挙してみると、
まぁ、そういう人もいるだろうが、そうじゃない人もいるだろ、
ということばかり。
以前と同様に今回も、理由は根拠のない想像らしい。
▽ 利用者は送料を誰が負担しているのか考えない。
▽ 代金総額が同じでも、利用者が
「送料別」より「送料無料」の方を得と思う。
例えば、商品3000円+「送料無料」と、商品2500円+送料500円なら
「送料無料」の方なら500円高い商品を買えるじゃないか。
▽ まとめ買いせず単品で購入し、その都度配達させる。
▽ 再配達でも「送料無料」だから利用者が気にしない。
前述の「値引き」の表示方法なら、
少なくとも会社が請求する「送料」がいくらかはハッキリするな。
草履大臣が言ってた見直し案「送料は会社負担」は、
金額がはっきりしないのでNGだろう。
● 1円携帯、0円携帯
1円携帯や0円携帯等の低価格携帯については、
法律で禁止とまではいかなくても、
以前の、2年契約で端末実質無料というのは、廃止に追い込まれたし。
ビジネスモデルとしては、発生する端末の損を
通信キャリアは通信料の利益でカバーし、
販売店はキャリアからの支援金や報奨金でカバーするというもの。
客に対して「無料(低価格)」をアピールして
端末販売で損をしても、商売全体で利益を出すというのは
「送料無料」に通じるものがある。
「送料無料」も、経産省などが問題ありと考えているなら、
世論を誘導して廃止に追い込む流れをつくるかもしれない、かな。
● 「送料無料」は無料なのか?
「無料」とは、
代金が発生せずに商品を購入できること、と考えられる。
代金を払ってるのに「無料」だと言われたら、
誰も納得しないだろう。
複数のものA,B,C・・・を、
代金として総額を会社に支払って購入した場合を考える。
支払った代金がCに関連した費目、例えばCの原材料費、
に使用されていたら、
「Cが無料」に納得する人はいないだろう。
つまり、「Cが無料」なら
支払った代金がCに関連した費目に使用されていない、
でなければ納得しないということだろう。
しかし、
会社内でのお金の流れは社外の人間に確認できないため、
自分が支払った代金がCに関連した費目に使用されていない、
つまり「Cが無料」が事実かどうかも確認できない。
Cを「送料」と読み替えれば「送料無料」も同様で、
広告に「送料無料」と謳われていても、絵に描いた餅である。
※ 商品代金がたとえ1円であっても、一旦は売上に計上され利益の一部になるのだから、
「送料無料」と謳われていても、代金は送料の一部に使用される可能性がある。
※ 会社内でどういう会計処理がされて送料が配送業者に支払われているのかは、
社外の人間にはわからない。
※ 専門用語では会計処理の段階の応じて営業利益だの当期利益だのの名称がついているが、
まぁどこかで送料が差っ引かれるのだろう。
「送料無料」と謳われていても、代金は送料の一部に使用される可能性がある。
※ 会社内でどういう会計処理がされて送料が配送業者に支払われているのかは、
社外の人間にはわからない。
※ 専門用語では会計処理の段階の応じて営業利益だの当期利益だのの名称がついているが、
まぁどこかで送料が差っ引かれるのだろう。
事実か確認できない謳い文句は、
疑わしい、紛らわしい、有利誤認な広告として
景品表示法に違反しないのだろうか?
まぁ、これだけ世間にまかり通ってるのだから、
何故か問題なしということになっているのだろうが、
客に与える印象が疑わしい、紛らわしいのは事実だろう。
● 客にとっての無料とは?
一番明白な「無料」は、
客が代金を払わず、後々も払う必要がなく入手できる、だろう。
しかし、誰もコストを払わずに入手できるものなどほぼないに等しい。
なので、客がコスト負担を意識せずに入手できるなら、
「客にとって無料」と考えよう。
ややこしいのは、本文でも触れた「送料」のように、
複数のものを購入して代金を支払った場合に、
購入したもののいずれかか「無料」かどうか、というケース。
▽ 博物館来場10000万人目の方に花束をプレゼント、の花束。
これは入場チケットと花束を入場料だけで入手したケース。
この花束は無料と考えていいだろう。
これまでの9999人の来場客も全員入場料を払っているが、
花束をもらえる人は10000人目の1人限定なので、
「自分の支払った料金が来場10000万人目の記念の花束代になる」
なんて意識することはないだろう。
▽ ラーメン屋の替え玉無料、の替え玉
これは、先にラーメン代が提示されており、
替え玉を追加してもラーメン代は変わらないというサービス。
ラーメン代+替え玉代=最初のラーメン代。
客は替え玉のコストを負担してるとは思わないので、
「客にとって無料」と考えていいだろう。
実際にはどの程度の替え玉が注文されるか等を考慮して
損益分岐点を計算し
損が出ないように最初のラーメン代が設定されている。
つまり、ラーメン代には替え玉の費用の一部が含まれているので、
替え玉は「無料」ではないのだが。
まぁ、客は無料と思って満足する。
つまり、複数の入手したもののうち無料とされたものが、
客にとって無料かどうかは、客自身の意識の仕方次第、ということ。
「自分は負担していない」と思えば「自分にとっては無料」、
「自分は負担している」と思えば「自分にとっては無料ではなく有料」。
こう書いてしまえば、ごく当たり前な話。
※ 例えば、もらえる人間が少ないほど、客自身と関係する可能性が低くなるので、
自分がコストの一部を負担しているとは思わなくなる。
料理屋で出される水等の商品に付属しているのが当然
かつ低コストなものも無料と思われがち。
自分がコストの一部を負担しているとは思わなくなる。
料理屋で出される水等の商品に付属しているのが当然
かつ低コストなものも無料と思われがち。
通販の場合、客は決まった商品代金を会社に支払い、
会社が配送業者に配達料を支払う。
支払いの元手は、会社の利益の一部と考えていいだろう。
では、客は「送料」を意識せずにすむか?
送料は商品全てに付属するし、
「送料無料」が謳い文句になるほど、送料は高いと思われている。
これで送料を意識するな、という方が困難。
誰が負担している? と疑えば、
自身が送料の一部を負担していることに気づく客もいるだろう。
当然その客にとって送料は無料ではなくなる。
ただし、実際に客も負担しているのかは、
会社がお金の流れを逐一開示する以外に確認のしようがない。
が、そんなことはしないだろう。
確認のしようがなければ、以下の2つの文章は同じこと。
▽ 「これで痩せます」と謳っているので
「本当に痩せますか」と聞いたら
「信じてください」と回答された。
あなたは信じますか?
▽ 「これは送料無料です」と謳っているので
「本当に無料ですか」と聞いたら
「信じてください」と回答された。
あなたは信じますか?
客にとって無料かどうかは、
絵に描いた餅を実物の餅と信じられるかどうか、なのだろうか。
● 「人件費無料」はいかが?
無料、タダ、と聞いて連想するのは「おまけ」だろうか。
おまけを辞書で引くと、
お‐まけ【▽御負け】
1 商品を値引きすること。
値引きの代わりに、景品を添えたりすること。また、その景品。
Weblio辞書(適宜略)
ただ消費者庁は、
通販で配送は必須なので、送料無料は総付景品ではない、
という論理を採用している。
(総付景品について、のQ118)
商品に必須なら費用は商品代金に含めるべきと思うが。
そして、「送料無料」がまかり通るなら、
他の必須な費用を「無料」と謳ってもいいのではないだろうか。
例えば、同じ支払い金額で「送料無料」の代わりに
「人件費無料」と謳ってあったらどう思うだろうか。
何かしらが無料になるのだから、客は得をしたと感じるはずなんだが。
おそらく「人件費無料」にはお得感はあまり感じないのではないだろうか。
それは、人件費は会社が出すのが当たり前、
と認識されているからかもしれない。
一旦会社が商品代金として受け取る売上。
そこから支払う商品に必須な費用という点では、
「送料」も「人件費」も同じ。
同様に「原材料費無料」とか「社長の接待費無料」とかも考えられる。
でも、やっぱり、謳い文句としてはダメなんだろうな。
※ いろんな費目は、会計処理上は異なるかもしれない。
※ 法律的に大丈夫かどうかも疑わしいかな?
※ 法律的に大丈夫かどうかも疑わしいかな?
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