沈み込む
沈み込む。
頭部が 体に
沈み込む。
あ~。
頭部と首周りのルーズスキンの感じが、
まるで、水晶玉を乗せた座布団のようだ。
りん 「きょうのうんせい みゃん」
「きょうはネコさんにあえて めっちゃラッキーみゃん」
「きょうはネコさんにあえて めっちゃラッキーみゃん」
水晶玉が占ってる、ってか。
水晶玉「で」じゃないんだな。
引き続き、線虫を使った癌のスクリーニング検査である
N-noseについて、Yahooニュースにリンクされていた
お医者さんの警鐘記事(以下、警鐘記事)をついて愚考中。
なのですが、すいません。
前回と今回の順番を間違えた。
流れとしてはこちらが先なのだが、
逆でもほぼ問題なく読めるので、ご勘弁を。
では、今回の愚考の中身。
前回、前々回で、
良くも悪くも、だが。
今回は警鐘記事の、N-noseの陽性的中率が5.4%、に関する部分を
多少掘り下げてみる。
※ 陽性的中率については、文末に。
結果、
▽ 陽性的中率5.4%は問題だと言われるような数字ではなさそうだ。
▽ 陽性判定を多く出し過ぎて、社会的・個人的負担を増加させるのは問題。
警鐘記事中の、検査の数字に関する部分を3回連続で愚考したのだが、
印象の悪い数字だけを出したのは、
わかりやすくしたかったのか、危機感を煽りたかったのか。
「数字で解き明かす課題(記事タイトル)」ねぇ?
以下は、陽性的中率の部分の愚考の詳細。
● 陽性的中率5.4%は問題ではないらしい
警鐘記事では、
日本の癌罹患率を想定した被験者集団をN-noseで検査すると、
陽性と判定されて実際に癌な人は5.4%しかいない
(陽性的中率5.4%)と計算される。
なので、N-noseは癌検査として疑問だと指摘している。
※ この被験者集団の詳細は文末に。
ざっくり1%~4%以上、といった程度。
5.4%なら問題なしか?
※ 許容値の数字の詳細は文末に。
この件に関して見つけた、
厚労省の資料の大腸癌検査結果(平成15年度分)を一部抜粋すると、
受診者数 6,403,659 人
要精密検査者(陽性判定者数) 466,172 人
要精検率(陽性率) 7.28 %
陽性的中率 2.27 %
未把握 87,555 人
未受診者 113,871 人
やっぱりというか、陽性的中率は2.27%。
精検を受診せずとか、結果が把握できずな人もいるので
簡単な補正を掛けても約4%
※ 他の癌検査でも陽性的中率は1.6%~4.6%(平成27年度)。数字の詳細は文末に。
というわけで、
警鐘記事中で計算されたN-noseの陽性的中率5.4%は、
特に問題でもなさそうだ。
5.4%という数字の印象だけで議論するのは危険という話。
※ 陽性判定者のうち、検査後の状況が未確認な人なんかが43%もいるので、
以下のように補正してみる。
これら未確認な人等も、確認出来た人も同じ罹患率と仮定して、
補正は単純に、2.27%/(100%-43%)=3.98%。
※ 3回前でN-noseと検便(便潜血免疫法の2日法)とで
感度も特異度も大きくは違わなさそうという話をしたが。
似てる検査で似てる被験者集団を検査すれば、似たような結果になるだろう、ということか。
以下のように補正してみる。
これら未確認な人等も、確認出来た人も同じ罹患率と仮定して、
補正は単純に、2.27%/(100%-43%)=3.98%。
※ 3回前でN-noseと検便(便潜血免疫法の2日法)とで
感度も特異度も大きくは違わなさそうという話をしたが。
似てる検査で似てる被験者集団を検査すれば、似たような結果になるだろう、ということか。
ちなみに、
この仮想の被験者集団での陰性的中率は99.8%と計算される。
陰性と判定されたら癌に罹患していない、
と言える数字ではないだろうか。
数字の印象だけなら、だが。
※ 陰性的中率については文末へ。
「数字で解き明かす課題(記事タイトル)」ねぇ?
● 陽性的中率が低いのは当然のこと
検便のように、検査が普及して健康診断に使うようになれば、
山のような検査人数に対して極少数の罹患者という状況になる。
N-noseの計算に使った仮想の被験者集団も、
似たような状況に設定されている。
癌罹患者の約14.5倍もの陽性判定の非罹患者がいるのだ。
※ この状況ではたとえ感度が100%(癌罹患者は全員陽性)でも陽性的中率は約6.3%。
※ N-noseの計算に使った仮想の被験者集団の詳細は文末に。
※ N-noseの計算に使った仮想の被験者集団の詳細は文末に。
N-noseはスクリーニング検査。
大量の被験者の中から
疑わしい被験者を見逃さずに陽性判定しているなら、
陽性判定でも実際には罹患していない人が多くなり、
そのため陽性的中率が低くなるのは当然だ。
「数字で解き明かす課題(記事タイトル)」というなら、
陽性的中率5.4%がNGだとする理由は述べておいてほしいところ。
計算結果の数字だけ並べても「解き明かした」とは言えないと思うが。
陽性判定された被験者が増えると精密検査の受診者が増え、
社会的・個人的負担が増大する。
これは問題だし、
検査が有用かどうかを判断するために必要な視点である。
● おまけのおまけ
▽ スクリーニング検査
スクリーニング検査は確定診断ではなく、
次の精密検査を受けるかどうかを判断するための検査であり、
次の検査があることが想定される。
・陽性であればより詳しい精密検査が勧められる。
スクリーニング検査の感度が低いのは、
罹患者を見逃さないために、
「疑わしければ陽性と判定」 するためである。
・陰性であっても継続的な再検査が勧められる。
罹患者の陰性判定(偽陰性)が必ず生じるため、
複数回の検査で判定が変化するかどうも要確認。
なお、
警鐘記事ではN-noseがスクリーニング検査であることが、
冒頭の一節以外では触れられていない。
▽ 用語:感度と特異度、陽性的中率と陰性的中率
感度:癌罹患者を陽性と判定する割合
数字が低いと
罹患してるのに陽性判定でなはい、
偽陰性の被験者が増える。
特異度:非罹患者を陰性と判定する割合
数字が低いと
罹患してないのに陰性判定ではない、
偽陽性の被験者が増える。
陽性的中率:陽性判定された被験者中の、罹患者の割合
陰性的中率:陰性判定された被験者中の、非罹患者の割合
両方とも、被験者集団の罹患率(集団中の罹患者の割合)で
劇的に変わるので、
数字を判断する際には注意が必要。
▽ 警鐘記事中の仮想の被験者集団
日本の癌罹患率から被験者集団の罹患率を1%と仮定し、
総数10000人、癌罹患者100人、非罹患者9900人としている。
N-noseの感度を85%、特異度を85%と仮定しているので、
各種の人数等は以下のように計算される。
・ 非罹患者で陰性と判定された被験者は、
9900人×85%=8415人
・ 非罹患者で陽性と判定された被験者(偽陽性)は、
9900人-8415人=1485人
なんと、癌罹患者100人の15倍弱が非罹患だけど陽性判定。
・ 癌罹患者で陽性と判定された被験者は、
100人×85%=85人
なので、陽性的中率は
85/(1485+85)=5.4%
これが、感度100%(癌罹患者100人は必ず陽性判定)でも
100/(1485+100)=6.3%
陽性的中率を劇的に改善しようとするなら、
特異度を改善して偽陽性を減らさないといけない。
・ 癌罹患者で陰性と判定された被験者(偽陰性、見逃し)は、
100人-85人=15人
▽ 各種癌検査の実績と、検査実施における許容値
がん情報サービスのHPから、以下の数字を抜粋。
それぞれの数字の出どころはHPを参照。
・ 癌検診の実績(地方自治体の実績を集計)
表2から抜粋 平成27年度の癌検診の実績(*1)
癌検診(*2) 胃癌 大腸癌 肺癌 乳癌 子宮頸癌
受診者数 3013168 6847472 5719736 3012808 4230282
発見癌率 0.12% 0.22% 0.05% 0.33% 0.04%
要精検者率 7.6% 6.9% 1.7% 7.2% 2.1%
精検受診者率 81.7% 70.1% 83.5% 88.3% 74.4%
陽性的中率(*3) 1.6% 3.2% 2.9% 4.6% 1.9%
(*1) 対象は40歳~74歳で、子宮頸癌のみ20歳~74歳
(*2) 検査方法は、胃癌:胃X線、大腸癌:便潜血、肺癌:胸部X線、
乳癌:視触診およびマンモグラフィ(マンモグラフィ単独含む)、子宮頸癌:細胞診
(*3) 癌が発見された人は全員陽性判定で精検を受けたと仮定して、
陽性的中率=発見癌率/要精検者率で計算
(*2) 検査方法は、胃癌:胃X線、大腸癌:便潜血、肺癌:胸部X線、
乳癌:視触診およびマンモグラフィ(マンモグラフィ単独含む)、子宮頸癌:細胞診
(*3) 癌が発見された人は全員陽性判定で精検を受けたと仮定して、
陽性的中率=発見癌率/要精検者率で計算
p37(PDFのp13)の表から抜粋
各癌検診に関する許容値
胃癌 大腸癌 肺癌 乳癌 子宮頸癌
要精検率 ≦11.0% ≦7.0% ≦3.0% ≦11.0% ≦1.4%
癌発見率 ≧0.11% ≧0.13% ≧0.03% ≧0.23% ≧0.05%
陽性的中率 ≧1.0% ≧1.9% ≧1.3% ≧2.5% ≧4.0%
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